遅ればせながら、ヤッシーおめでとう!
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矢代久美子五段(リコー杯で) |
女流きってのオモシロキャラクターを問われれば、ノータイムでガンモ・ヤッシー両五段とツクンコ四段(関西総本部の棋士が寄せ書きする『囲碁ステーション』で活躍中)と答える。もちろんこれは私のささやかな情報源からの確信だが、もしも私が未知の方で「我こそはそれ以上のツワモノ」と自覚されている方がおられればご連絡いただきたい。お話して感銘を受ければ、身を粉にして広報・宣伝活動に務めることを誓います。
面白いことに、三人とも最近結婚されたばかり。関西総本部所属のツクンコについては本ページの「東男と京女」を参照いただき、またガンモ姉については近く触れる機会があると思うので、本稿ではヤッシー五段を取り上げたい。
私がヤッシーを初めて見たのはもう12、3年前にもなろうか。その時の様子は本ページ雑記帳「ウックンの強さ」で触れたのでご参照ください。
ヤッシーに興味を惹かれる理由は、例えば下記のような独特なヤッシー節から。通り一遍ではない彼女の人となりをありありとうかがい知ることができるような気がするではないか。いずれも5、6年前に『週刊碁』に連載された「ナチュラル通信」から引用(ただし記憶力が悪いのでディテールやニュアンスが違ったり、我が妄想がつくりあげたものが3つほど混じったりしているかもしれません、当ててみてください)。
- 25歳になるやいなや、「四捨五入すればもう30歳」とあせりまくり始めた
- 尊敬する故加藤正夫前理事長の口癖「ヘンチョカトリセンコー」が伝染し、口をついて止まらなくなったと言って涙ぐみながら大騒ぎした(本ページ雑記帳「ボヤキ言葉の真犯人」を参照ください)
- 対局勝者が感想を聞かれて「運良く勝つことが出来ましたがまだまだ未熟者、これからも努力しますのでどうぞご声援をお願いします」などと答えるのは気色悪いと言い切った
- 棋士になった今でも芥川賞とか直木賞を本気で狙って作家への夢を捨てない
- 趣味はピアノ。しかしいつまで経っても「月光第1楽章」しか弾けなかった(ついでに言えば、このベートーベンの名曲をガンモ姉はドビュッシーと間違えた)
- すらりとした長身で運動神経が良さそうに見えるが、実は自転車にも乗れない
- 好物は寿司だが、料理するのは「オグラ納豆メカブ」のぶっかけご飯(粘り強くなるため)
- エステティックサロンに行って職業を聞かれるのが一番困る
- ガチンコのアッシー八段(緑星学園出身のK.充志さん)の得意曲股旅演歌の真似をして父親の浴衣と股引を借りて物差しを振り回した挙句、蛍光灯を壊した
- ファンに揮毫するために習字を習い始めた。ヤッシーにちなんで「卑しい」ではなくて「癒し」の字を取り入れた適当な熟語を探しているがいまだに見つからない——。
『週刊碁』7月31日号によると、ヤッシーは小林光一門下の金沢英男七段との5年越しの交際を実らせ、7月11日に入籍を済ませたという(結婚式は未定)。このあたりが実にヤッシーらしい。彼女の誕生日は昭和51年の7月末。つまり、彼女が平素から気になっていたミソヂ(30歳)になる直前に駆け込み入籍を果たしたのだ。さぞや、いつまでも煮え切らない秀男七段の背中を力強いおみ足で蹴り続けたことだろう。
ヤッシーのためにもう一つ付け加えれば、女流タイトルへの20代最後のチャンス「女流本因坊」位を見事獲得したこと。それまでのタイトル戦ではいつもクヤッシー涙に暮れていたのが、29歳になったばかりの背水の陣でついに大願成就となった。土壇場で発揮したこの勝負根性はエライ!
これからも日本碁界に独特の明るいセンスとおとぼけ語録をたっぷり振りまいて欲しい。
亜Q
(2006.8.12)
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