チーム構成の妙

一昔前ならニュースにもならなかったなどとひねくれるのはやめよう。 久し振りに日本勢が快進撃を見せてくれたCSK杯メンバーに素直に乾杯!

しかし今回の結果から、「やはり日本は強い」と軽々に自己満足することはできない。 日本、韓国、中国、台湾はまさに紙一重の実力差。指運の世界だろう。 リッセー、メーエン、チョーウらが核となれば新興台湾も優勝の目がある。 将来、どこかの国に天才が二、三人現れて、旋風を巻き起こすかもしれない。

数千年にわたる人類の挑戦を経てなお神様の領域には遠いと言われる碁。 各国棋士の強弱を安易に論評するのは、ザル碁党の私でなくても僭越だろう。 碁とは、それだけ奥深く玄妙なものなのだろう。

日本チームの今回の快挙には、チーム構成の妙があったのではないだろうか。 団体戦の要は何と言っても主将の人選。ケンセー本因坊は最適任だった。 タイトル者としての実力よりも、私はリーダーとしての人柄を買いたい。 メンバーの尻を叩くでもなく、一緒に舞い上がるわけでもない。 ただ一人淡々と戦いの場に臨む。その背中をチーム全員が見ている。 出陣前、「私は捨石にはならない」と彼は言ったそうだ。 戦果は1勝2敗だったが、台湾の主将、林海峰との一回戦勝利が大きかった。 そして何より、チームの雰囲気を最高状態に保つ良き接着剤になったのではないか。

第二は、中核を支えたヨタロー名人とユーキ鶴聖の仲良しコンビ。 ヨタロー名人の独身時代、ユーキ青年は上京するたびに徹夜で早碁を打ったという。 この二人はいわゆる“世知に長けた”タイプとは最も遠い存在。 沖縄の地で世のしがらみから開放されて、伸び伸びと実力を発揮したらしい。

兄貴分が活躍すれば弟分も発奮する。ハネ、ケーゴの若手はまさに期待通り。 韓国強豪をねじ伏せた力に改めて敬意を表するしかない。 私個人としては、タカオ、ミゾガミ、ジローあたりでも遜色ない活躍を見せると思う。

ところで、我らが覚はどうか。富士通杯同様、大活躍することは間違いない。 「国際棋戦に力を注ぐ」と決意表明した彼ならどんな条件でも大丈夫。

しかし、こんな手はないだろうか。 各国代表は現行基準通りに決める。そのほかに自由参加を認めるのだ。 つまり、我らこそ最強メンバーと手を挙げるチームを土俵に上げて総計6チームにする。 もちろん厳正な予選を実施する。各国枠は設けず、予選上位2チームに出場権を与える。

覚チームならば、同期組の片岡、山城、気が合う淡路、タカオあたりを配する。 自由選抜組の意地をかけて本来の実力を発揮すれば、世界を制覇する可能性はある。 GWに沖縄で各国代表を集めて実力ナンバー1の座を争うCSK杯は大いに盛り上がった。 この際、さらに発展させる手段を講じて最も魅力的な棋戦にのし上がって欲しい。

亜Q

(2003.4.30)



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