亜Q氏、散る

千寿先生に挑戦する亜Q氏
千寿先生に挑戦する亜Q氏

亜Q氏が週刊ポストの「女流棋士にチャレンジ」のコーナーから声がかかり、10月11日土曜日、日本棋院市ヶ谷本院の5階和室で、3子で千寿先生に挑戦しました。以下は亜Q氏の自戦記です。

一局目の棋譜
第1譜(1-45)

1.黒8までは作戦通り。特に不満がありません。

2.最初の分岐点は黒18。部分的に甘いとは承知の上での 確信犯です。第1感は無論星下への下がりですが、志が低い ようで私は嫌いなのです。

3.白19は覚悟の上ですが、黒20は策におぼれました(千寿先生の指摘)。堂々と黒26に打っていて、白は右辺の目がないので右上に白は手出しできません。実戦は右辺で白に活を与えて不満でも、右上を固め中を厚くする、黒28まではほぼ想定通り。

4.問題は、白9を迎えてすぐに実行した黒30。左上に放置された黒2はこのままでいろいろな利き味を持っていてしぶとい。三々や30へのツケ味、34へのスベリ、8五あたりからの逃げ等々。だから何も決めずに左下か左辺へ打つべきでした(かささぎさんが特に強調された)。今考えると、5十一あたりへのボーシ(白ケイマ受けならさらに6十へボーシ)が私らしい。実戦ではここの打ち方を決めかねて、わかりやすい上辺に回ってしまいました。

5.白31からの折衝では、生意気ながら、白37以下は少々意外な気がしました。右上がはっきり地になり、なおかつ黒2は死に切っていない。逆に中央から決めて中を厚くする手段も見える(実戦はこれを目指したつもり)。

6.一段落して黒42が変調、ほぼ1手パス(千寿先生)。すぐ黒55と出て様子を見られると、黒32の逃げ出しが成立する。このため、結果的に左上はガラガラになる(千寿先生)とのことでしたが、意気ながら、私はこういうところをすぐに打たない癖があるのです。なお黒42を敢えて自己弁護するとは、右上白43、45の後、14三切りからの白の狙いの備えにはなっているはずです。

一局目の棋譜
第2譜(46-75)

7.先手で引き上げ、黒46から50まで左辺を分断して一応の満足。ただ黒52は蛇足。保留して53へボーシすればはるかに良かった(千寿先生)。実戦は53を打たれ、さらにベラデカの白55に回られ細かくなりそう。

8.上辺からの進入がなくなった以上、黒56から62のキカシは今がチャンスでしょう。

9.とりあえず先手を取って黒64ボーシに回り、何となく中央が黒っぽくなりました。

10.白65以下の食いつきは当然、黒も76まで目いっぱい頑張って応戦。6十三からの出切りがあるから、左下黒に白は進入できないと見ています。白(3〜6)十七へのツケ、オキなどが心配ですが、黒は頑張りきれる(千寿先生も同意)。


一局目の棋譜
第3譜(76-121まで、白中押し勝)108 (103)

11.黒の敗着は黒80または86(千寿先生)。白は6十三のキズを先手でカバーすべく必死のところだから、黒80では84に守って十分。白79はそれほどの力はないし、6十三のキズも修復できていない(千寿先生)。せめて黒86では87に打ち、白111を甘受して106に止めれば黒に残っていた(同)。

12.87以降は白も必死、プロの面子をかけてつぶれるはずはありえないのでした。

 以上を省みて、私が最も悔やむのは黒52です。必要以上に力が入って、私の唯一の長所(と自分では思っている)であるバランス感覚が全く消え失せている。長考らしい長考は一つもなし。流れに任せて感覚だけで打っている、それもプロを相手に。しかも、結果的にプロをつぶしに行っている。これではプロの逆鱗に触れる。黒52、そして80が白を怒らせた最も悪い手でした。

亜Q

(2003.10.12)



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