四天王のニックネーム

日本囲碁界が期待する四天王のニックネームが決まったそうだ(5月8日付『週刊碁』)。カッコ内は次点作および講評で紹介された案。

◆山下敬吾=フルスイング(闘拳、奥睨み、毘沙門天)
◆ウックン=韋駄天(コウの魔術師、名刀、スピードスター)
◆高尾紳路=重厚戦車(悠々流、重厚将軍)
◆羽根直樹=忍の貴公子(次善流)

フームな〜るほど、このニックネームなら確かに四天王を類推することができますよね。聞いた後から言うのは気が引けるが、まずは想定の範囲内。「忍の貴公子」は千寿会講師の「東の貴公子セーケン」をもじったような気がしないでもないが、失冠した羽根前棋聖をいたわる「忍の」が付いているから、まあ良しとしましょうか。

この中で最も意表を突かれたのは「奥睨み」。対局中に相手を睨む視線を指すなら、亡くなられた加藤前理事長の方が有名だと思うが、講評によると「力をためて狙う棋聖の棋風」を意味しているのだそうだ。

不特定多数の読者に何の制約もなしに公募すれば、ニックネームの根拠あるいは“次元”がとりどりになるのは仕方がないのだろう。「フルスイング」はスポーツ用語だし「韋駄天」は歴史(伝説)上の人物、「重厚戦車」は武器、「忍の貴公子」は情緒的な人物像。でも、せっかく4人をセットにしたニックネームを考えるなら、東西南北とか春夏秋冬といった同一のカテゴリーの中から対極的な4語(4者)を充てられれば最もふさ
わしい。だけどこれが猛烈に難しい。強いて言えば、「青春」=ウックン、「朱夏」=ケーゴ、「白秋」=ハネ、「玄冬」=タカオ、かなぁ。

例えば「歴史上の著名人」に喩えるならどうか。まず、誰もが違いがピンと来る4者を選び出すのが大変。信長、秀吉、家康、さて4人目は誰?「政界の有名人」を俎上に上げても、必ずしも評価が一定しているとは限らない。吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘、もっとわかりやすくコイズミさんやオザワさんらを担ぎ出すことも可能だが、いざ四天王に当てはめるとなると何かと味が悪いことになりそう。MLBで活躍中の野球選手ならど
うか。ケーゴ=松井秀樹、ウックン=イチロー、タカオ=野茂、ハネ=田口……、やっぱりどうもピンと来ない。

となれば、同じカテゴリーの中に多彩な選択肢があり、しかも比較的多数のイメージが一致しやすい色、動物などから選ぶのが無難だろう。まず四天王を色分けしてみましょう。ケーゴ=赤または青、ウックン=黒または白、タカオ=グレーまたはブラウン、ハネ=緑または黄色(ベージュ系)……。どうかなぁ、あまり自信がないけど。

動物なら、ケーゴ=虎・バッファロー、ウックン=豹・はやぶさ(隼)、タカオ=熊・鯨、ハネ=ライオン、奔馬。

これらを無理矢理組み合わせると、ケーゴ=レッド・バッハロー、ウックン=黒豹、タカオ=灰色の熊、ハネ=イエロー・ライオン。ウーム、残念ながら駄洒落タイトルと同様、落第(私はおのれに厳しい公正な男なのだ)。そもそも長過ぎるし、昔子供が小さいころに付き合わされてテレビで見た変身4人組が活躍する○○レンジャーみたいだ。どうも連休は出だし早々、我ながら冴えないことおびただしい。

亜Q

(2006.5.3)


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