会友・成島眞さんが「夫婦棋士トーナメント戦」を創設

千寿会のみんなから「ナルシー」と呼ばれて敬愛されている会友の成島眞さん(写真、右から2番目)が、日本棋院90周年を記念して新棋戦「夫婦棋士トーナメント戦」を創立された。成島さんは日本棋院特別賛助会員、日本棋院普及指導員、囲碁同好会「成島塾」主宰者、慶應義塾大学囲碁部OBの流れを汲む囲碁三田会幹事など囲碁界で幅広く活動・貢献してこられた。このたび長年勤め上げられた企業経営から引退された機会にユニークな新棋戦を構想され、いよいよ10月6日にスタートされる。

出場棋士は、小林泉美六段&張ウ九段、原幸子四段&依田紀基九段、小松英子四段&小松英樹九段、三村芳織二段&三村智保九段、加藤啓子六段&溝上知親九段、岡田結美子六段&岡田伸一郎八段、矢代久美子六段&金沢秀男七段、鈴木歩六段&林漢傑七段の八組16名。「ファン感謝まつり」の11月22日、東京・日本棋院での公開対局で初代チャンピオンが決まる。本命「加藤&溝上」、対抗「鈴木&林」。若い頃から「能書き上手の馬券下手」と言われていた亜Qが予想しておこう。

個人が浄財を投じて棋戦を創設した例は、馬齢を重ねていつまでも半可通の私が知る限り、独文学の大学教授兼作家で碁をこよなく愛した故・中野孝次さん(処女作「麦熟るる日に」が平林たい子文学賞を受賞し、その後「清貧の思想」「ハラスのいた日々」などがベストセラーに)ぐらいしか思い当たらない。もう10年以上前になるだろうか、「U20中野杯」を創設して若手棋士育成に役立てた(第1回優勝者は瀬戸大樹七段、準優勝は大橋拓文六段、現在は「ゆうちょ杯」に受け継がれている)。このほか、やはり千寿会会友の大坪英夫さん(プロアマ含めて数少ない名誉九段称号を持つ)も多額のポケットマネーをつぎ込んで「東京精密杯・女流最強戦」を創設され、囲碁界最高名誉の大倉喜七郎賞を受賞されたが、銀行から天下りされた大坪さんは赤字会社を超優良会社に立て直して生じた利益を原資にしているから意味合いが少し異なりそう。「夫婦棋士トーナメント戦」は「U20中野杯」以来の個人創設棋戦と言えるかもしれない。

ところで夫婦棋士(囲碁棋士同士のみ)は東京・関西棋院を含めて何組あるのだろう。上記八組以外で我がうろ覚えをたどれば、佐藤真知子二段&佐藤昌晴九段、小山栄美六段&小山竜吾六段、金賢貞三段&中根直行八段、羽根しげ子初段&羽根直樹九段、知念かおり四段&揚嘉源九段、中島美絵子二段&安藤和繁四段、菅野尚美三段&菅野昌志六段、井澤秋乃四段&高梨聖健八段、青木喜久代八段&青木紳一九段、向井チアキ女流本因坊&杉本明八段らが浮かぶ(順不同、この中には明らかな間違いや"抜け落ち"があるかも。お気づきでしたらご教示願います)。

そして夫婦棋士の真打ち、パイオニアと言えば、お二人の平均年齢が卆寿を超える杉内寿子八段&杉内雅男九段。この際、日本棋院に粋な計らいをお願いしたい。90年を象徴する大ベテランカップルと初代優勝カップルによる「90周年記念対局」を見せていただきたいものだ。

亜Q

(2014.9.28)


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