村上文祥さんの思い出
小林 千寿
今から17年前に、村上文祥さんのお供をして、因島の碁会に伺ったことがあります。
村上水軍の末裔と伺っていましたが、地元でお会いする錚々たる方々は、みんな村上さん、
文祥さんのいとこに、おじさん・・・と、今でも、村上家は町の要人達なのです。
一見、浅黒く、子供心にも碁が強い怖そうなおじさんと思ったものです。
でも、因島で、ご家族と打ち解けて話されている文祥さん、
同級生と思いで話をしている文祥さんを目の当たりにして、印象は大幅に変わりました。
そして、尾道への大橋への上で、私たちが海を眺めていたとき、ふと気がついたのです。
絶景の眺めを車の中で見ている村上さん。
「どうして、外に出てこないんですか?」
「いや〜 う〜ん・・・」
みんなが車に戻って、やっと、こっそり教えてくれました。
「高所恐怖症なんだよ・・・」って!
文祥さんにも怖いものがあったんですね・・・と、何だかとても感心して、うれしくなって、
急にかわいく(失礼!)見えてきたのを覚えています。
存在感のある方は亡くなったとき、ズド〜ンと、そこだけ穴があいたみたいによくわかるものです。
(お嬢さんの村上祐子さんも東大の囲碁部で活躍しておられました。)
(2001.8.18)
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