千寿会でのある一局、わたしの白である。
白2-2に打って「はい、活きました」と宣言(したようなもの)。ところが黒は▲にくる。
白Aに打って活きは、一目見れば判る。考えるまでもない。これは基本の死活として、前に紹介している(謫仙楼対局 基礎の 死活)。
ところが、白Aのあと黒Bとなるとその後の打ち方がなぜか読めなかった。「どこかにおまじないを打ってそれから白Aだったかな」
必至で考えるが盲点に入ってしまって、素直に白Aでいいことに気がつかない。手順を間違えると死んでしまうので、死んだふりをして他所に打つ。 しばらく打ち合っていたが、健二師叔が見に来たとき、「ここか死んでしまって…」と言うと、笑顔で「微妙」とのたまう。
その瞬間、黒から先にAに打たれてしまった。打たれれば、考えるまでもなく白A黒B以下の手順が浮かんだ。口は災いの元。投了となる。
この後は、家賃が高くなっていたネット碁で連戦連敗。孔家の引っ越しである。
その途中ではこんな負け方もした。
ここでパスつまり終局宣言である。左下に一目取り・つなぎがあるので早すぎたが、それはともかく相手は同意せずダメを詰めてきた。そしてダメの 九手目が黒▲。
いきなりここへ来れば気がついたであろうが、九手もダメを打った後なので、気がつかず別なところに打ってしまった。つまりパスした。ところが黒 A・白B・黒Cと一手ヨセ劫ではないか。投了となる。負け続けるとこんなことにも気がつかなくなるのだ。
5子下がってしまった。
行くつくところまでいってしまってとどめの大敗。
それでも、もう碁盤を見るのもいやだ、とはならないのが碁好きの宿命。
千寿師父にこの話をすると、呆れ顔でなにか言っていた。聞き取れなかったが「苦労しがいのない男」とでも言ったのかな。
その後の師父の指導は、十年前に初めて教わったことと同じ。「相手が右を打てば左へ、左なら右へ、それでなんの問題も無いでしょう」。
これがきっかけで連戦連勝。勝ちだすと不思議なもので、負けたと思ったのに相手が投了する。どうもコミなしなのにコミが出せないと錯覚したよう だった。相手が最終手で不要の手入れをしての半目勝ちもあった。そうして3子戻すことができた。定位置だ。上に上がると家賃が高くて生活が苦しく なる。
かささぎ師兄は某氏に八子で負けて、それでもめげるどころか嬉しそうに「八子局の負け方」を書くと言っていた。これぞ碁好き。
しかし、よほどキーボードが堅いのか、半年たつのにいまだ目にしていない。
謫仙(たくせん)
(2011.12.1)