女流将棋棋士独立をサポートする古作さんが千寿会に

 3月3日の千寿会に、古作(こさく)登さんがひょっこり顔を出された。古作さんと言えば、もう10年以上経つかもしれないが、千寿師匠とともにNHKの囲碁・将棋番組の司会を務めたジャーナリスト。将棋は地方代表クラスの強豪、囲碁は千寿師匠との縁で始めた晩学だが、10年足らずの棋歴で自称四段(私には贔屓目なしに五段に見える)に駆け上がった。この間、毎日コミュニケーションズ社が創刊した囲碁新雑誌の編集長などを経て、今では日本棋院が主宰するネットサービス「幽玄の間」の管理人を務める傍ら、『月刊碁ワールド』誌の新年1月号から「似ているようで違う将棋と囲碁の世界」を連載されている。

 その古作さん、ご自身の本家あるいは古巣の将棋界では、昨年12月1日に発足した「女流棋士新法人設立準備委員会」(本サイト雑記帳の「女流将棋棋士会独立の動きに思う」もご参照ください)の設立準備委員広報担当に任じられている(詳細は『月刊碁ワールド』誌07年1月号94ページ参照)。同準備委員会は女流棋士会所属の全員(53人)による採決の結果、賛成44、反対1(棄権8)の賛成多数を獲得、日本将棋連盟からも「連盟から独り立ちできるなら大いに結構だ」と激励されて船出したばかり。

 ところが、ようやく賛同者が集まりこの春にも新法人誕生のめどがつきかけた今になって、一人二人、また一人と、メンバーからの脱会が目立つようになったらしい。笑顔を見せて新法人の前途を祝った父親たる連盟自ら、切り崩し工作を強めているとのためにするような噂が門外漢の私の耳にも届く。こうしたややこしい話は、当事者すべての声を聞かないといけないが、私には一方的な噂ばかりが入る。ご関心のある向きは、信頼すべき教育委員でもある連盟会長自ら執筆される「まじめな私」にもぜひ目を通していただきたい。いずれにせよ、新潮、文春、読売などの新聞・週刊誌が近々記事にするとの地獄耳情報もあるから騒がしい(ガセネタだったらごめんなさい)。

 そんな折に顔を出された古作さんはまさに“ねぎを背負ってきた鴨”。かささぎさんや私は当然矢継ぎ早の質問攻勢をとるが、当事者たる古作さんは生臭い話や個人攻撃は一切避け、「こうした試練が新法人の足腰を強くしてくれる」と、むしろ苦労を楽しんでいるように見える。将棋ファンはもちろん、囲碁界、政財界の人たちも含めて、支援者が着実に広がっていることを確信しているのだろう。

 印象的だったのは、「アマ同士の生碁は久しぶり」という古作さんにお手合わせ願った私との碁で、古作さんがつぶやいた次の言葉。「(将棋と違って)相手との調和を心がけながら手談を交し合える碁って本当にすばらしい」。この碁は時間切れで打ち掛けになったが、囲碁と将棋の世界で活躍し、今女流棋士の独立をサポートする立場の古作さんはこの時、将棋と囲碁の世界の違いをどのように感じていたのだろう(ご参考までに、本サイト雑記帳の「囲碁に性差はありや(続)」もお目通しください)。

亜Q

(2007.3.4)


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