21世紀の朝鮮通信使の碁

挨拶をする木谷正道さん

日韓トップ棋士対局 ~囲碁で信(まこと)を通わせ合う~

 武宮正樹九段と曺薫鉉(そうくんげん)九段の対局を見に行った。
2010年10月8日(金)16:00~20:00
主催  :21世紀の朝鮮通信使実行委員会
     特定非営利活動法人暮らしと耐震協議会
共催  :駐日韓国大使館韓国文化院
大盤解説:大竹英雄名誉碁聖
聞き手 :小川誠子六段と小林千寿五段

 対局のあと、千寿さん司会によるトークショーと、「木谷正道&心の歌バンド」によるコンサート。木谷正道さんはこの会の実行委員長。故木谷實九段の三男である。

 わたしは「21世紀の朝鮮通信使」という話を最近知ったばかり。詳しいことは知らないので説明は省略させて頂きます。

 武宮正樹九段は宇宙流でおなじみ。曺薫鉉九段は日本で碁の修行をして、韓国で開花させた大棋士。あのイ・チャンホの師匠でもある。
 さて、碁の話をしよう。曺九段が黒、武宮九段が白である。時計はNHK方式による。

 白▲を打ったところ、これをどう見るか、という話。わたしは普通の形に思えるのだが、解説者は「白は二子の黒石を挟んでいるので、悪くないと思っている」という。申し訳ないがわたしの記憶力は確かではないので、正確にこう言ったということではない。大意だけ読み取って欲しい。
 このあと、左辺は白がAにおさえたら、黒はBに開く要領。
 このあたりは解説者の独擅場。

 黒▲を打つ。ここで解説者が白Cを指摘。そのとき黒が中で目を作って活きるようではいけない。ノビだすことができるか。ただし白はすぐには打たない。局後武宮さんが真っ先に指摘したのもこの点だった。打つには準備が要るのだろう。

 白▲を打ったところ。黒Dと交換する。解説者は「右上隅にいろいろ手があるので、こう決めてしまうのはもったいない」と指摘。このあたりから形勢は黒に傾いたようだ。
 このような判断は、後続する手段が判っていてできるもの。わたしにはスミに入る手段が読めないため、この手は普通の手に思えてしまう。

 右下は複雑に入り組んでいる。
 白Eに手が戻るかどうか。それには黒Fに抑えられるか。黒が選んだのは黒▲の1目ヌキだった。もちろん白はFにノビだした。白6目が浮き上がることもなく、右の黒地を先手で狭めることもできる。
 7線上の白三子の厚みがぼかされてしまっていたが、白Fで白の勝勢となったようだ。(もちろんこの流れが必然なら、その前から勝勢)
 武宮さんは宇宙流で知られているが、本当に得意なのは、このようなコミを利用して細かく勝つような碁たと、かなり前に一流のプロ棋士が言っていた記憶がある。

 結果は白の1目半。

謫仙(たくせん)

(2010.10.11)


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