十段・女流名人合同就位式

7月5日に行われた十段・女流名人合同就位式に行ってきました。私には亜Qさんのような文才がないので、井山裕太十段と謝衣旻女流名人の謝辞だけ写実的にお伝えします。

謝衣旻女流名人の謝辞

皆さんこんばんは、本日、お忙しい中、お越しいただきまして本当にありがとうございます。そして主催者の皆様、協賛の皆様、十段戦そして女流名人戦を開催していただき、心から感謝しております。ご来賓の皆様ありがとうございます。

今回は2対1という結果になりましたが、防衛できたことはほんとにうれしく思っています。そして1局目は大阪商業大学で対局を行いましたが、実はこれまでに何回か大阪で対局したことがありますが、実は一回も勝ったことがなくて、帰りの新幹線はとってもとっても長く感じました。そして今回も1局目負けてしまい、ほんとに長かったです。また是非大阪で対局する機会がありましたら是非リベンジをして、もらって返りたいと思います。

そして2局目なんですが、3月11日地震の日なんですが、ほんとにあんなに大きな地震を体験したのは初めてでした。そして、建物があんなに揺れたのもほんとに初めて見ましたし、対局はそのあと中断したのですけれど、再会は確か15日後でした。何とか勝つことができたのですけれども、今、地震から4ヶ月くらい経ちますが、まだまだ大変な思いをしている方もはたくさんいるとおもいますし、やはり自分も何かできることがあったら、やりたいと思っていますし、そして、先ほどのチャリティイベントなんですが、ほんとに被災者の皆様に少しでも力になれるよう、そして、1日でも早い復興を願っております。

簡単な挨拶ですが、最後になりまして、いつも応戦してくれている師匠の黄先生、そして、本日のために台湾からお父さまお母さま本当にありがとうございます。今回は4回目の優勝ということなんですが、先ほどもいったように来年勝ったら名誉ということなんでねらっていきたいと思います。そして、これからもほんとにどんな棋戦でもどんな対局でも一生懸命打っていきたいと思っています。ありがとうございました。

チャリティ指導碁の様子

井山裕太十段の謝辞

皆様こんばんは、本日はお忙し中お集まりいただきまして、まことにありがとうとございます。

僕はこの十段位は勿論初めてなんですけれど、今まで十段戦ではなかなか本選に入っても、全く上のほうに行くことができなかったので、ちょっと正直、十段とはなかなか縁がないのかなと思っていたのですが、今期は本選から非常に苦しい碁を拾ったりして、自分に非常にツキがあるのかなと感じていました。

十段瀬では張栩十段との、第1局ということで、今年1月から棋聖戦がまず行われまして、ちょうど棋聖戦の第5局と第6局の間に十段戦の第1局があるという、並行して行われる形になったのですけれど、まあ、棋聖戦は第5局が終わって2勝3敗で非常に苦しいという状況で十段戦だったんですが、1局目は地元大阪での開催ということで、非常に応援して下さった方もかなり僕のほうが多かったと思うのですが、残念ながらその対局も負けてしまいまして、棋聖戦のほうでもちょっと第6局も負けてしまって、そのときはかなり精神的にも追い込まれた状況で、非常に厳しい状態でした。

よく負けが続いていると勝負の世界では相手の顔をもみたくないというか、相手の顔を見るのも嫌だという風に言うことがよくありますが、これがこのことなんだというふうにそのときは感じていました。

棋聖戦も終わって十段戦に集中することができまして、第2局で、自分の中では非常によく打てたと思う1局なんです。あの1局を境に、すこし、気持ちが楽になったといいいますか、はい。第3局も負けて先に追い込まれる形でしたけれども、第4局、第5局と追い込まれた中でも自分の力を出しきって結果的に勝つことができたということで、ほんとに自分自身ホッとしましたし、自分の力が通用して本当によかったと思っています。

この十段戦という棋戦は先ほどいわれたように、今期から3時間の持ち時間で、世界戦に合わせたといいますか、非常にスピーディーな戦いになっているわけですけれど、その十段の獲得が先日おこなわれた国際戦の優勝に繋がったかな、と自分では思っていますので、本当にこの十段位の獲得というものは自分にとってほんとに大きな勝利でした。

今回、この合同で就位式をしていただくというのは僕自身初めての経験なんですが、やはり一人よりも謝さんがいるほうが非常に心強いので、できれば他の棋戦もこういうふうにしていただけるとありがたいのですが、そういうわけにもいかないので、この十段戦は来期からも絶対に頑張りたいと、そういうふうに思っています。

最後になりましたが、この十段戦を主催していただきました産経新聞社さんはじめ、この開催にご尽力いただきました方々、そしていつも応援してくださる方々への感謝の気持ちを忘れずに、と、共に今年は大震災で大変な年になりましたけれども、僕たちプロ棋士ができることというのは、やっぱり、少しでも皆様に感動を与えられるような碁を打つことしかできないと思っていますので、少しでもそういう碁を打って、さらに日本を元気づけるような活躍を世界棋戦でもしたいと、そういうふうに思っております。

そのためにはまだまだ、これからも成長していかなければ行けないと思っていますが、これからも暖かく以後応援よろしくお願いいたします。

以上。

かささぎ

(2011.7.6)


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