碁の自由度を謳歌したい!

                      K(さいたま市、男性)

一つ一つの石には個性や能力差がなく、碁盤のどこから打ち始めてもよいーー。
将棋やチェスと決定的に異なる碁の特徴は、「初期条件がない」ことと言えるでしょう。
打ち手の想像力、創造性、柔軟性をどこまでも忠実に反映してくれる、それが碁です。
基本ルールはきわめてシンプル、かつ自由度が高い。碁に備わる美の原点だと思います。

この美点を、コミ、持ち時間、置き碁の配置などにもっと活かしたいと思いませんか?
例えば両対局者の合意を基に決めるコミの自由設定制。既に国際戦で実施されています。
現行の日本棋院のルール(5目半)より大きい6目半、7目半が主流だと聞いています。

持ち時間についても、長考派・早打ち派を問わず、同様に決められるかもしれません。
その際の「取引材料」はコミです。仮に45分間を基礎時間、最長1時間まで許容する。
時間をオーバーした1分ごとにコミを半目ずつ相手に進呈する(最大15分=7目半)。
ただし、45分以内に打ち切っても相手から差額分をもらうことは無論できません。
逆に、両者共にオーバーした場合は、互いの時間差をコミに換算すればいいでしょう。

置き碁も、置く側(下手)の自由意思をもっと発揮してもいいのではないでしょうか。
例えば四子局なら、定石を勉強する意味から言えば、四隅の星に限定しない方が面白そう。
星、小目、高目、目外しを組み合わせたり、対角線上に二つの締まりを配置したりーー。
あるいは一隅を空けて、右辺の高い中国流と左下の高目を組み合わせることも有力かも。
選択は棋風と気分次第。上手・下手双方共に常に新鮮な気持ちで対局できると思います。

ところで、碁の神様ならば互い先の碁の第1着手は天元ではないか、との説があります。
確かに直感的なパターン認識からすれば、盤面9個の星はバランスよく配置されています。
小林千寿先生もかつて、四子局なら四隅の星が最もバランスがいいかもと言われました。
しかし三子・四子局ともなれば、勝負というより指導碁の意味合いの方が強くなります。
「定石」になずまず、より実験的な「新手」に挑むのも碁の醍醐味ではないでしょうか?

(2001.9.17)


もどる