ハンスピーチメモリアルトーナメントに参加して

 去る9/27~29にブダペストで開催されたハンスピーチメモリアルトーナメント(以下HPMTと略)に参加してきました。というかどのような大会なのかチョット覗いてきたというところです。HPMTを冠する大会は18歳以下を対象に10年前からドイツにて開催されているとの事ですが、今年、ピーチ六段を喪ってから10年を機に欧州の後輩達が初めて年齢制限なしのこの大会を開催したとのお話でした。
 参加者は有段クラスが50名弱、級クラスが90名弱でした。持ち時間は1時間、使い切ると一手30秒の秒読みが3回、有段クラスはオール互い先でした。対局は1日目1局(金曜日18時からスタート)、二日目3局、三日目(日曜日)2局。対戦相手は一局終わるごとに勝利者同志が対戦していくという世界アマ並みの運営でした。負けて行くと段々弱い相手にあたるようになります。
 参加したナルシーと小生は、最初から三日目は観光させてくださいと千寿先生にもお願いしてあり失礼ながら三日目は温泉や市内観光を楽しみました。
 戦績は言わずもがなです。とにかく対戦相手が強すぎました。ハンスピーチさんの兄弟弟子でパリで囲碁インストラクターをやっているベンマルク6段、ウィーンNO1のシュピーゲル5段に当たり見事負かされました。皆さん立派な県代表クラス以上の実力でした。いずれも千寿先生のお弟子さんです。
以下大会の感想を思いつくままに書かせて戴きます。

1.大会の雰囲気は和やかなものでした!
 親睦を旨とした和やかな雰囲気でした。日本語での挨拶(お願いします)から始まりマナーもよく時計を押し忘れているとそっと教えてくれたり、投了の意思表示をした瞬間に握手を求めてきたりとても感じのいいものでした。
 有段者トップのレベルは高く(日本の院生経験者が数人)また級位者の裾野も広くそれぞれが碁を楽しんでいる印象でした。ただ日本では結構いる我々クラスの打ち手の層は薄い様に感じました。どなたかが云っておられましたが、いわゆる賞金かせぎという方々が参加していなかったことも大会の雰囲気に影響があったのかも分かりません。
 最終日、ハンガリー駐在日本大使が祝辞を述べられたと伺いました。大変な盛会であったと思います。

2.千寿先生、ご立派でした!
 大会開催の挨拶やHPさんの棋譜解説(NHKのお正月番組で打たれた タラヌ・カタリン5段との碁など)を実に堂々と英語でスピーチや解説をされておられました。多くの外人聴衆相手に、原稿もなくご自分の言葉で押し出し良くスピーチされる姿はまさに「国際人」でした。また多くの弟子(HPMT出場有段者の半数近く)達に囲まれ楽しそうに、旧交を温められているご様子でした。弟子たち主催のバースデイパーティーが開かれ、先生がパリ、ウィーン、ジュネーブで熱意をもって囲碁普及にご尽力されたご様子を窺い知ることができました。

3.外人選手の打つ囲碁(JJJ)
 青い目の少し弱い人3人と打ちましたが、「碁」というゲームのコンセプトが変わるような印象をうけました。今まで中国人、韓国人、青い目の強い人とはそこそこ打った事がありますが、青い目の3人の印象は全く異なりました。まず日本ではどう打っても一局のような序盤の15手以内の局面で長考するのにビックリ。何を考えているのか想像もつかず、考えたあげく堂々と定石外れを打ってきます。超弱いなと思っていると、手どころ(攻め合いや駄目つまりで手になるよう場面)になると俄然パワフルになり「え?そんなところやってくるの?」という感じ。しかも結構部分的な読みは正確でした。私の独断ですが、要は相手にも地を与え、地を囲い会うというゲームではなく、石を切って攻める、石を取るゲームと理解しているように感じました。

4.チャバさん本当にご苦労様でした!
 大会運営の事務局を一手に引き受けておられたのは、チャバさんをリーダーに3~4人かと思いました。小人数の事務方に加え、参加者が結構時間にルーズ(ナルシーと小生は「ブダペスト時間」と呼びました)で開始時間が30分、1時間ずれ込むのは当たり前。ナルシーと小生は開始30分前には行っていましたので、結構な時間待たされることになり、そのたびにチャバさんが直々に謝りにこられお気づかいも大変であったと思いました。ただ奥様がたいていそばにいて、何かとサポートしている様子で、奥様の力でご苦労も半減したものと思いました。

 千寿会に入り、機会と同行の方(ナルシー)に恵まれ、またとない体験をさせて戴きました。私の囲碁人生の、貴重な一頁かなと思っております。また機会があれば観光編を書きたいと思っております。

梵天丸

(2013.10.15)


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