祝・グロービス杯

優勝した一力遼七段

5月11日の日曜日にグロービス杯の決勝戦の解説会を聞きに行った。参加申込が必要だったので、少し前に行ったのだが、そのときには、決勝戦には日本勢は残らないのだろうなと思っていた。もし誰も残らなければ、キャンセルするかなとも思っていた。準決勝に二人残ったときも、どうせここで二人とも負けるんだろうなと、長年染みついた負け犬根性はなかなか抜けないものである。当日、午前中の準決勝でまず、許家元二段が勝ち、出掛ける準備を始めた処で一力遼七段が勝ち日本勢同士の決勝戦が決まった。国際大会での日本勢同士の決勝戦は第10回富士通杯の小林光一 - 王立誠戦の決勝以来、実に17年振りだそうである。

決勝および解説会の会場は麹町のグロービス経営大学院。解説会の参加申込の締め切りを後に引き伸ばしていたので、参加者はそれほど多くないのかなと思いながら、会場に入ると思ったよりも会場には隙間があった。せっかくの日本勢同士の決勝なのに、もったいない。多くのファンはニコ生で観戦しているのだろうか。解説は依田紀基九段、聞き手は万波奈穂三段。依田九段は、堀さんは、一代でこれだけ成功した運の持ち主。その彼が棋戦を行うのだから成功しないはずがないと、また、どちらが勝ってもよいから気楽だともいっていた。

万波奈穂三段

30秒の早碁だから、解説を行っている間にも手がどんどん進む。途中、ここへ打たれると、こういう手筋が決まるという所が何回か出てきた。そこで、依田九段が万波三段にNHKでやっていたあれをやってとリクエストがあった。万波三段は前にやったのだけど会場がしんとしてしまったので嫌がったが、依田九段の執拗な催促で結局2回もやって下さった。写真は「マジカル手筋2」。序盤は許二段がややよしだったが、途中から形成が入れ替わり最後は左上で許?段の見落としがあり。一力七段の優勝となった。

大竹九段と林九段

依田九段の世界戦で優勝したのだから一力七段を九段に、許二段を七段にすればいいのに。別に日本棋院の懐が痛むわけでもなし。という言葉に大竹元理事長がえらく受けていた(写真)。表彰式でのインタビューで、3位の連笑七段は日本に来られたことはよかったが、あまりうれしうないと正直な感想を述べていた。準優勝の許二段も同じ感想だった。若い人は正直ですね。表彰式の後、ほんの少しだけグロービス代表の堀義人氏と話ができた。「絵に描いたようなこれ以上ない結果になりましたね」と、大会開催の謝意とお祝いを述べさせていただいた。「準決勝には二人残っても、決勝には誰も残らないものではないかと思っていました」というと、堀氏は「ベスト8にさえ誰も残らないのではと心配していた」とおっしゃった。本大会を30年は続けるという堀氏と日本の若手に期待したい。

かささぎ

(2014.5.14)


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