建国記念日囲碁大会

棋聖戦の解説をする千寿五段と健二七段
棋聖戦を解説する千寿五段と健二七段(右)

 平成16年2月11日、建国記念日の日に千葉県、柏市布施の近隣センターで総勢200名近くの囲碁大会が開催された。

 建国記念日といえば、昔は紀元節、小学校では式があり、「雲にそびゆる高千穂の、高嶺下ろしに草も木も、なびき伏しけむ大御代を、祝ふ今日こそ楽しけれ」と歌ってから家に帰ったが、本日は高度成長を支えたかつての企業戦士が年老いて、80畳の畳の上でコンビニ弁当のビニールのフタをひらめかせつつ盤面を睨む。

 柏市は上野から常磐線で30分、昭和30年頃までは東京の小学校では秋の芋掘り学習に遠足を兼ねて出掛けるような所であったが、現在は人口35万、隣接する我孫子市と合わせれば50万になんなんとする堂々たる中堅都市である。

 ここで毎年この日に、日本棋院の女流棋士小林千寿五段を迎えて囲碁大会を催すこと、今年で10回目となる。ただし右翼の囲碁大会ではありません。小林千寿五段の主催する千寿会のメンバーの一人でもある地元の藤田和男氏が営々として近隣の囲碁クラブとの懇親を深め、今年は参加申込者161名を数えるに至ったものである。千寿五段もこの日は万難を排してきて下さる。一昨年までは、お弟子のハンス・ピーチ四段(追贈六段)も見えていたが、今年は弟さんの小林健二七段とお二人のみ、いささか寂しくなった。

 大会は二手に分かれ、高段・有段・級位者それぞれのトーナメントと指導碁8面打ち2組。優勝者・準優勝者には千寿五段から色紙と賞状が贈られた。

 自称3.5段の筆者は健二七段の指導碁。碁会所の席亭に4子でも勝てないのに、3子は厚かましいが、要するに何子でも同じこと。予定通り大石頓死で終了。隣の千寿五段の指導碁の相手の中に小学生が3子で対局。結果を後で聞けば何と持碁だって。くやしー。劣等感と嫉妬心の塊。

 「先生、40年もやって来て、どうして小学生にも劣るんでしょうか」「それはね、皆さん大人の人は知識がたくさんあるために、盤上の現象をその知識に当てはめて理解しようとするから経験が素直に身につかないからですよ」「はあ、そうですか」なんだか、褒められたような、馬鹿にされたような気持ち。もう、今日の先生の色紙にある「敬天愛人」で行くしかないな。

 大会が終わって表彰式の後の千寿先生のお話がいつもながら大変面白い。「ここだけの話」が多いのはチト問題かもしれないが、白髪の聴衆は大喜び、皆、上機嫌で散会した。

 本大会に柏市の文化部予算から金5万円頂戴いたしました。ありがとうございまします。でも、もう一寸ふやしてください。たいへん功徳になると思いますので。

木村雄一

(2004.2.17)


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