碁界はもっと魅力的なイベントを企画しませんか?

韓国と並んで世界の2強に君臨する中国では、長期間かけてプロ棋士による 地域対抗団体戦が大人気だという。李昌鎬、曹薫玄といった世界最強棋士を 韓国から助っ人に招くなど力の入れようは並大抵ではない。中国棋院が あの手この手で魅力的なイベントを提供し、ファンもそれを熱狂的に受け入れるという 相乗効果で盛り上がっているのだろう。

日本ではどうか。七大棋戦を中心に大小いくつかの棋戦がスケジュール 通りに進められ、季節に応じて決勝戦が入れ替わり立ち代り展開される仕組みだ。 粛々と、誠に行儀の良い運営ぶり。しかしこれでは、多くのファンが期待する 好取り組みは偶然に待つしかない。羽根泰正・直樹、武宮正樹・陽光、 小林光一・泉美らの超魅力的な親子対決は永遠に実現しないかもしれない。 ファンは欲求不満を抱えながら対決を阻んだ敵役に八つ当たりするかもしれない (羽根親子対決は既に行われたらしいが、これは僥倖と言うべきだろう)。

勝負には「旬」というものがある。例えば先ごろ先輩プロ棋士との試験碁を 4連勝して飛び付け五段を許された坂井秀至五段。少年の頃から切磋琢磨してきた 同門の結城聡九段との三番勝負を企画すれば不況下とは言え多数の スポンサーがつくだろうし、ファンも観覧・解説料を喜んで支払うだろう。 小学生でプロ入段を果たした井山悠太初段に七歳でプロ入りした大先輩趙治勲王座が 胸を貸すのも是非見たい。昨年末の不幸な事故の後遺症がようやく癒えた小林覚九段と 柳時薫前天元による「完全和解の対局」も大評判疑いなし。 できれば早めに実現させたい目玉企画だ。

もちろん、こうした「特別企画」は一般棋戦スケジュールや手合い料などの 既成の秩序に少なからぬ影響を及ぼすだろう。 しかし、韓国、中国、台湾の台頭を目の当たりにして日本が手を拱いていていいわけはない。 ファンあっての碁界である。プロ野球やサッカーが土日開催、ナイター優先したように、 ファンの都合に日本・関西棋院や棋士を適合させ、1年に数回は魅力的な特別イベントを 断行してもらいたい。

K

(2001.12.19)


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