久保先生との指導碁から〜その1

 本年の千寿会も残り1回(12月18日)となった11月20日、千寿師匠、健二師範代いずれも都合悪しく、ご指導いただく先生はホストに久保秀夫六段、ゲストに武宮陽光五段。共に30代半ばのオトコ盛りというフレッシュな顔ぶれとなりました。

 久保六段は3回目の登場。千寿師匠とともに日本棋院常務理事として、手合いの傍らインターネット事業を中心に次々に押し寄せる難題解決に毎日忙殺されている様子。前々回は熊本出身の後輩、鶴山淳志さんとの熱戦を自戦解説(昨年暮れに開かれた井山名人就位式の会場でお会いした鶴山七段との会話の中でちょっぴり紹介させていただきました)していただきましたが、今回は2歳年下の陽光五段に大盤解説を譲られ、“気配り・秀夫流”の温かい指導碁に専心されました。

 前回久保先生にご指導いただいたかささぎさんは、「かっこいい手」と題して本ページの7月4日付ですばらしい手筋を披露されています。かささぎさんのライバルを自認する私も負けてはいられない。初めてご指導いただいた今回の碁を題材として、いきなり出現したハイライト場面での「次の1手」を皆様に考えていただきたい。ちなみに私は当日、久保先生(4子局)、モンパパ(私の先)、かささぎさん(互い先)と対局してはかなくも美しく3連敗。碁にのめりこみ始めた10数年前から数えて初の年間負け越しを喫する大ピンチを迎えました。これはきっと、私が勝手に“我が藤原佐為”と思い込んでいる貴公子(高梨聖健八段)と同じ人生行路を歩んでいるからに違いありません。

 本局は、私が自由置き碁の4子局で常用している配石の右下小目に白が1間高ガカリ(16-十五)してこられました。これは私のささやかな経験では圧倒的多数派の白の態度。これまで私は、下ツケ、上ツケ、各種ハサミを実行してきたので、今回はおとなしく黒2(14-十六)と小ゲイマに受けてみました。白は当然のように三々ツケヒキから上に厚みを形成しようとしている気配。ザル碁にも三分の魂。そうはさせじと、私は黒6(16-十二)と2間にハサミました。実は少し前に大橋拓文四段に教えていただいた際、16-十一と3間にハサンでまるで成果が挙がらなかった記憶があり、私なりに反省して修正を施したつもりです。白は動じることもなくすぐに白7(15-十七)とツケて切断を図り、いきなり接近戦に入った序盤。白が下辺を25とハネて、本局を左右する正念場を迎えました。次の黒26を考えてみてください。

亜Q

(2010.11.23)


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