シューコー先生の次の一手(7)解答編

初めに皆様にお詫びしなければいけません。実は今回の出題について、「ジャカルタのパパが正解されるのではないか」と勝手に推測、「真っ先に正解図を挙げられてしまうと興趣がそがれてしまうかな」などと心配して「ゆっくり回答してね」と余計なことを書き足しました。そうこうしているうちにパパはおそらくお忙しくなられたのでしょう。そんな愚生の手違いから心待ちしていたパパからの回答が日本シリーズCSがたけなわになった頃やっと届き、遅ればせながらこれで心置きなく「次の一手(7)」解答に進めさせていただきます。

正解図
A:シューコー説、B:苑田説

正解図をご覧ください。シューコー先生はAを挙げられましたが、関西宇宙流・苑田勇一九段が示されたBも「これも立派。要するに左上のスソ空きを守りたい」とのことでした。出題図に戻り、左上での長い定石が黒27で一段落し、白が小ゲイマガカリしたまま放置されていた右上を28とカケ、黒が29と受けたのに手を抜いて白30と並び下がったのが「狙いを持った大きい手」(シューコー先生)。左上の黒の勢力は取り巻いている白にダメを詰められているからかなり割り引かなければならない。そこで「AまたはBとかんぬきを下ろして白からの侵入を封じて左辺の黒模様を地固めする手が大きくなる」(同)ようです。

さて、皆様からのご回答を拝見すると、「地固め」する焦点を右方向にするか左方向にするか、二つの考え方に大別されました。これはシューコー先生がヒントにされた言葉、いえ愚生がはしょってお伝えした文章に問題があったかもしれません。それはたくせんさんのご感想に明らかです。つまり、「白にはいろいろな侵入の手段が残され、(中略)上辺や下辺がしっかりしているから、黒がさらに模様の谷を深くしようとしても効果が薄い」(シューコー先生)とするならば、「そもそもこのような模様を作ったのは失敗で、投了すべしということになるではないか」(たくせんさん)と受け止め、"模様の幅を広げる"「6−十四」という本来の第一感を廃案とされて、(おそらく不承不承で)「16−九」と右辺の「地固め」に向かわれたらしい。

かささぎさんも、どうやらたくせんさんと同じ発想から、中途半端な状態にある右上「16−三」とされました。ヒントの文章から「どうせ一手で完全な地になりはしない」と左辺への手入れを放置し、確実に「地固め」できる右上に回られたのでしょう。そしてジャカルタ帰りのパパは、私が心配していた通り、「この本は読んだことがある」と告白されましたが、幸いまったく覚えておられなかった!「地固め」のヒントから右辺に目を向けられ、右下星の白に17−十四からカカルことによって右辺を豊かにされる方針を示されました。

参考図

梵天丸さんとsekaigoさん、そして愚生は左辺の模様を「広げる」のではなく「確定地にする」ため、左辺中央のラインに目を向けました。梵天丸さんが「5−十」コスミ、sekaigoさんは「7−十」大ゲイマ、そして愚生はその間の「6−十」ケイマときれいに並びました。特に梵天丸さんは正解の「3−七」の地点を急所と看破し、「コスミで向かい打てる」と判断された。その意味で「最も正解に近い」と言えるかもしれません。しかし左上の白からは参考図のように大きなヨセの手が残っている。白1(2−五)ツケに黒「3−六」ヒキが相場とは、黒はいかにもつらい。と言って黒2のオサエでは、白3と切られてなお悪い。黒4、6の抵抗は白9まで。となれば結果的に、三者の回答はすべてものすごい凝り形になってしまう。強いて言えば、sekaigoさんの大ゲイマが多少なりとも効率が良いと言えそうです(その意味からも愚生の着点は中途半端でした)。

実戦図

実戦の進行は、梵天丸さんの着点に近い「4−九」。「バランスが取れているようだが、守りとしては欠陥がある」(シューコー先生)。白は左上からの侵入を留保し、左下2から戦いを起こし、左辺下方を割りました。しかしシューコー先生によると、「白4はaと打ち、以下黒b、白5、黒c、白dとコウにする方が軽い」とのご意見でしたが、愚生には高等過ぎてわかりません。

亜Q

(2012.10.17)


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