ケンジ先生のヘボ・ザル矯正ギプス(その1)


ヘボさん、ザルさんは共にアマ五段。対局はいい勝負だが、それは時の運で、 棋理に関しては自分のほうが上だとお互いに思っている。今日も、二人の打った 一局をここはこう打てばよかったとか、そんな手はないよと、言い争っている。 いつまでも決着がつかないので、ケンジ先生(小林健二七段)に見てもらうことにした。

第一譜
ヘボ、ザル:先生よろしくお願いします。

ザル:ヘボの黒番です。まず、第一譜までですが、白14は甘かったかなあ。 白Aに下がるべきですね。

ヘボ:白14はこの一手でしょう。左下隅の星と呼応して厚くていいんじゃない。 ザルさんもようやくこんな手が打てるようになってきたかと、感慨深いよ。

ザル:堅くツイだから、黒15に対して、白16が省けなくなってしまった。

ヘボ:白16は悪手だよ、ここは手抜きで白18あたりに開かないと。

ザル:白16を省略して開きに回っても隅とのワタリを見られて打ち込まれ、 ガラガラになるよ。

ヘボ:さらに輪をかけた悪手が黒17。悪手、白16が逆に絶好の利かしになった。 左上は活きさえあればいいんで、断固手を抜き、左辺星あたりに先着するべきだったね。

ザル:確かに気合でそう打ちたくなるね。ただ先手で7二に跳ばれるのがね。 一長一短難しいところですね。

ケンジ先生:ちょっと二人とも待ってくださいよ。まず黒9のワリコミ。二人とも 白6が二間高バサミではなくて白Bの一間バサミの場合と同じに 考えているんじゃないですか。確かに一間バサミのときは、シチョウ黒良しの場合、 ワリコミが成立しますが、この場合は無い手ですね。黒12のハネか黒15の三三入り が普通ですね。

ヘボ、ザル:え〜、そうなんですか。

図1 図2
ケンジ先生:白12とヒクと黒の無理が通ってしまいます。 ここは図1の白1と押える一手です。黒2とアテて欠け継いだとき、ハサミの白石が 急所に来ていますね。

ヘボ:図2の黒1にツケるのが手筋っぽいですね。

ケンジ先生:そのときは、白2とハネコミます。 黒3とキルしかないですが、白4とまくられ、黒5と下がっても、白6と押えられます。 以下、黒Aなら白B、白Aなら黒Bでほとんど黒ツブレです。 実戦の白12黒13の交換は黒が儲けています。次に、白14のカタツギか3四のサガリかですが、 サガリの方がやや良いでしょう。

ザル:やっぱりね。

ケンジ先生:いずれにしても白16は手を抜いて白18に回ったほうが良いでしょう。 黒17はヘボさんのおっしゃるように完全にキカサレですね。

ヘボ:そうだろう。

(つづく)


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