耳赤・恥の一手 梵天丸編E

第七譜 (96-102)

中央の黒石はどちらかに連絡できる保険がかかったので、待望のオオヨセにまわることができほっとしました。ただこの時の心理状態は黒86(8-十六)にこだわっていて、この石の顔をたてるヨセを打ちたいと思っていました。B(17-十八)、C(9-十七)どちらがより顔を立てる事になるのか迷いましたが、手抜かれ時厳しく迫れそうなBを選択しました。白97と挨拶して戴いたので左辺に回ることができました。A(2-九)(先生いわく:地に一番カライヨセ)は中央黒に影響がでそうで(白4-八が左上にキイている)、中央に厚い黒100を選択しています。

黒102と覗いたのが打たずもがなの手でした。反発されましたが自慢のキカシ(黒106)があり中央黒が先手で左辺に繋がり事なきを得た感じです。

最終譜 (102(2)-174(74))

あとは最終譜でご覧下さい。10-四からキカシた3子がよく働いているとのコメントを戴きました。終局図(最後のあたり手順が違っているかも分かりません)先生が黒石をポツンと置かれました。初めての事で一瞬キョトンでした。家で作ってみたところ10目程度いいようです。蛇足ですが、本譜をまとめてみますと、黒56とキッテできた中央の黒の厚み(先生いわく20目以上)が働き、下辺白の地を6目に減らした事、黒に大きなヨリツキがなかった事でなんとか幸いする事ができたものと思っています。

執筆後記
自戦解説も出題も何から何まで初めての事でしたが、いい経験をさせて戴いたものと感謝しています。おつきあい下さった皆々様ありがとうございました。お礼とお詫びを含め感じたことを以下述べさせて戴きます。

1) 貴公子先生の謙虚で真摯なお人柄に触れることができたように感じました。局後の手直しの際何度か、「白はどこが悪かったのかな」、「白51(10-三)はそんな陽気じゃなかったのかな」等自問され「指導碁たりともおろそかにしない「碁」に対する姿勢」を感じ感動を覚えました。ご指導して戴く身としても、先生のように真摯に自分なりの納得感を大切にしていかねばと改めて思いました。(少々オーバーかも分かりませんが実感です)

2) 先生に確認していない解答が寄せられた時のコメントには正直窮しました。「おかしいのでは?」とも言い切れず、「なるほど」と思う部分もありました。私の個人的な感想などなんの意味もないことは重々承知していましたが、そんなことでお茶を濁してしまった事お詫びします。「候補手公開」もコメントに窮した苦肉の策の面もあった事も、ご理解戴ければと思います。

3) 「正解」「最善手」はいくつかあってもいいのではと思いました。@一番厳しい手や一番大きな手ばかりでなく、A少し甘いが紛れにくい手も、B少々無理でも何かやっていく手も、いずれも形勢により「正解」「最善手」となるものと思います。指導碁の場合、形勢は圧倒的な有利からスタートするのでAが「正解」のような気もします。ただ第一問の変化図のような美しい図を見ると文句なく「正解」と感じてしまいます。また他人が見て違和感があってもその人が一生懸命考えた事が「正解」のような気もしてきました。「正解」はいくつかあってもいい、そんな思いを持ちました。

梵天丸

(2009.3.9)


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